インテリアあれこれ


俯瞰図(ふかんず)

 デザイン学校の授業の中で最も印象的だったのが俯瞰図の作画でした。真上から見た状態を描くということが新鮮で、面白い絵だなぁと思いながら描いていました。

 建物をこんな風に真上から見たことはないはずなのに、俯瞰図は平面図が苦手な人も小さな子どもも、ちゃんと空間を把握することができます。その上、見ていて楽しいちょっと不思議な絵です。

 仕事で俯瞰図を描くときは、まず1/50の平面図に家具をレイアウトし、その後、立体的な完成予想図に仕上げていきます。家具だけでなくドアやカーテンもできるだけ忠実に描き込みますが、食器や本などは若干大きめです。縮尺を合わせて描くと小さすぎて何を描いたのかがわからなくなってしまうので…。

 いつも「洗濯物はどこでたたむのかしら」とか「得意メニューはなんだろう」などとお客様の暮らしの様子を想像して描きます。完成までのプロセスは「住まい全体を見ながら部分を描く」の繰り返しですが、素材感や色合いを考える面白さは手描きならではのものです。これからも、その空間「らしく」見えるように工夫を重ねていきたいと思います。

 

                      2018/10/07

 


北海道新聞2018年10月5日朝刊『「建築パース」手描きで説得力』に俯瞰図が取り上げられました。→どうしん電子版


カーテンを選ぶとき/寝室

 一日の睡眠時間が8時間の場合、一日の1/3は眠っていること

なります。人生を80年として計算すると、合計睡眠時間は26.7年。

寝室の滞在時間は意外と長いですね。近年、睡眠時間は短縮傾向

にあるようですが、質の良い眠りでスッキリ目覚めたいものです。


 よい眠りを妨げるものの一つに「光」があります。昼間に睡眠

取らなくてはいけない場合や、朝日が眩しくて早くに目覚めて

しまう場合など、明るくて眠れないのは辛いものです。対策はい

くつかありますが、カーテンで遮光する方法を考えてみましょう。

 

 「遮光カーテン」はその名の通り光を遮るためのカーテンです。

全く光を通さない生地から、織糸の間から光が感じられるものま

で、遮光性の高い順に1級から3級まで3段階で分類されていま

す。少し前の遮光カーテンは、暗幕のような黒っぽい印象の生地

が主流でしたが、最近は明るい色調や鮮やかなプリント柄、織の

表情が豊かなものなど、選択肢が増えました。

 それでもイメージに合ったものが見つからない場合は、好みの

生地に遮光用の裏地を付けて仕立てる方法があります。遮光性を

高めるだけでなく、カーテンの色褪せを防いだりボリューム感を

出す等の効果もあります。

 

 ところで、カーテン本体からは光が通らないのに、周囲から漏

れる光が気になることがあります。遮光1級のような光を通さな

い生地だからこそおこる現象です。完全に遮光するにはカーテン

ボックス等でレール上部からの光を防ぐ、リターンを付ける、丈

を長くする…等々のテクニックが必要です。建物本体から検討し

た方が良い場合もありますので、早めにご相談ください。

 

 少し光を通すカーテンの方が目覚めが良い場合もあります。

生活のパターンや明るさの好みのを考慮して選びましょう

 

                         2015/04/24



カーテンを選ぶとき/暖房パネル

 北海道の新築住宅のほとんどが、暖房にセントラルヒーティングを採用しています。家中が暖かで、室温の管理もしやすく、各部屋に火元を置かなくてすむので安全です。
 写真の床近くにある白い箱のように見えるのが暖房パネルです。温めた不凍液を循環させて室内の空気を暖めるタイプです。暖房は窓からの冷気をパネルの暖気で止める方法が効率的なので、暖房パネルは基本的に窓の下の腰壁付近に設置します。
 ここで少し問題になるのが、カーテンとの取り合いです。
カーテンは、暖房効率を高める役割を持っていますが、カーテンがパネルを覆ってしまうと、暖気が窓のガラス面から逃げてしまい、暖房効率を上げるどころか下げてしまいます。
 カーテンを付ける場合は、暖房パネルの高さは窓下から15cm〜20cm下がったくらいの高さが理想です。(ブラインドの場合は10cm程度で大丈夫。)暖房パネルは幅や奥行きで必要な熱量を調整できます。
 掃出し窓(写真のようなテラスなどに出られる窓。)の場合は、窓と暖房パネルの間にカーテンが通るスペースを確保します。レースとドレープ(厚地のカーテン)を付ける場合は、窓と暖房パネルの間を15cm程度離します。この場合、暖房パネルが室内側に入り込むことになり、家具レイアウトに影響する場合があります。あらかじめ家具の大きさや動線を確認しておきましょう。
           

                        2011/09/13



ピクチャーウィンドウ

 

 初めて受賞した「住まいのインテリアコーディネーションコンテスト」の作品は、南面のテラス窓全てがピクチャーウィンドウというものでした。コンセプトは「窓に映る四季の風景を絵画や映画のように楽しむ暮らし」。四季の色、光、香、音をイメージしながらインテリアを考えました。

 そして17年後、同じイメージの空間をコーディネートするチャンスに恵まれました。少しずつ角度が異なる3連の窓が緑豊かな森を映し出しています。プリーツスクリーンで窓の周囲をスッキリさせ、できるだけ風景が大きく見えるようにしました。スクリーンを上げると見事なワイド画面の景色が広がります。

窓の形状こそ違いますが、あのコンテストのプランが実現したら、こういう感じなのだろうなぁ…と、現場を訪れるたびに思いました。

 秋の紅葉、墨絵のような雪景色、桜色の春、そして、夏の深緑。きっと感動の毎日に違いありません。

私たち建築スタッフがお招きを受けた冬の夜は、背の高い松に飾られたイルミネーション(ご主人が命がけで取り付けたそうです。)が、窓越しに「ようこそ」と言っているようでした。

 さて、今日はどのような風景を映しているでしょう。

涙するほどの大きな感動も良いですが、小さな感動が毎日あるのはもっと素敵ですね。

 

                       2011/08/06

                設計:大杉 崇(ATELIER O2)



インテリアパース


 建物の外部や内部の完成予想図をパースペクティブ(パース)といい、内部空間を表現したものをインテリアパースと呼びます。

記号や数字でいっぱいの建築図面はわかりにくくても、パースなら一目瞭然。イメージを伝えるのにとても良い技法です。

 私は打ち合わせ中の図面の端や打ち合わせシートの裏に、よくパースを書きます。少々、線が曲がっていてもイメージはちゃんと伝わりますし、理解の行き違いもなく、打ち合わせもスムーズに進みます。

建築やインテリアのプロには、是非、身に付けてほしいテクニックですね。


                        2011/08/07



棟梁のプライド

 

 建築現場に行くと職人さんたちの休憩時間だったということがあります。職人さん同士の技術論から世間話まで話題はさまざまですが、ある大工さんの話が心に残っています。

どのような話からかは覚えていませんが…

 手がけている建物を指して棟梁は「この家は、いつかは壊されるだろう。壊されないまでも修理をするときに壁を剥がすかもしれない。その時『この大工、こんな(つまらない)仕事をしていたのか』と言われたら、俺は墓の中にいても恥ずかしい」と言いました。

 見えなくなる部分も手を抜かない、自分自身に嘘をつかない彼の仕事ぶりが「墓の中にいても」の言葉に込められています。誇りと自信を持って仕事をしているからこそ出た言葉なのでしょう。なんて素敵な人と仕事をしているのだろうと思いました。

私も棟梁のように真摯な気持ちで仕事をしていきたい。

もう一度一緒に仕事をしたい人の一人です。

 

                       2008/08/22

 



住宅は個性的

 

 札幌を中心に400戸以上の建物のインテリアを手がけてきました。そのほとんどが住宅です。

住宅は個性が無いように思われがちですが、実はとっても個性的。

同じインテリアデザインの住まいは一つもありませんでした。どの家も住む方のライフスタイルがインテリアに表れています。そうでなければいけないと思いますし、そうなるようにコーディネートの提案をしてきました。

 弊社のコーディネートのモットーは「◯◯さんらしさ」。

住む人にフィットするインテリアデザインは「◯◯さんらしさ」が持続します。好きなものに囲まれた空間はとても快適ですし、大切に永く過ごしたいと思い、お手入れにも力が入ります。そこを、お友達から褒められたりしたら嬉しくなっちゃいますね。

絵を掛けたり、クッションの配色を考えたり…。住まいはどんどん「◯◯さんらしさ」を増していきます。

 住宅はとっても個性的!なんです。本当に。

                        2007/11/30